小島健治 デジタル・アート ワークス:概略
20世紀日本生まれ。現代アートに興味を持ちつつも、近代物質文明に根ざしたアートワールドの終焉を感じて、1980年からニューヨークで中世絵画の技法・材料によるエッグテンペラ・ペンティングを制作、1989年アルドリッチ現代美術館の後援でニューヨーク市でペインティング・エキジビション。その後エッグテンペラ作品は、シティバンク、ヘス石油等のコレクションに加えられました。
1980年代中世絵画のスピリッツを現代アートに持ち込んでいた頃、パーソナル・コンピューターは急速に改良発展して行きます。その頃から次第に、近代物質文明を越えるコンピューターのアートとしての可能性に気付き、1990年代初頭コンピューターを使用した、知覚、認識、時間の関連を探求するアートを始め、90年代中頃にアートワークは、インターネット・ブラウザー上を中心に展開して行きます。2001年までの主な作品は、ニューヨーク市ニューミュージアム・デジタルアート部門 Rhizome のアーカイブとして保存されました。
21世紀に入ってからは、インターネット・ブラウザー内のアートワークだけでなく、自身のプログラミングによるアートワーク制作のためのアプリケーション開発と、独自のインターネット・プレイヤー開発の方向に向かって行きます。 2002年から現在まで継続して、緯度経度から地球上各地の現在のローカルタイムと、その地点での太陽の角度を示すプログラム「時間系」を開発。 2007年より視覚聴覚の関連を追求するソフトウエア「RGB MusicLab」を開発開始。2008年11月サイバースペースの外、現実空間ニューヨーク市チェルシーのノンプロフィット・アートスペース AC(Art Current) Institute で、サウンド・インスタレーション及び写真シリーズ「サブウエイ・シナステージア展(地下鉄の共感覚)」を発表。同作品は、2009年5月コペンハーゲン市で行われたRE-NEW 2009 デジタルアート・フェスティバルに選出、展示され、同作品のために作られた曲は、2009年7月第36回ブールジュ(フランス)インターナショナル・電子音楽コンペティション ネットアート部門に入賞しました。2009年11月スイスのバーゼルを中心にインターネット上で行われたPixelstorm賞で、「RGB Values into Music (ピアノ曲 MonaLisa)」 が 名誉賞 に選出。2010年3月に、ベルリンで開催された前衛音楽のPROCESSフェスティバルで、「RGB Music RENGA: 999 Views of Skyscrapers」が催されました。また同作品は、2010年7月にサンパウロ市で開催される FILE PRIX LUX 賞サウンド部門にノミネートされ、ノミネート作品によるインターネット・エキジビションが行われました。2010年 9月 FAD 国際デジタル・アート フェスティバル in ブラジル参加。2010年10月28日〜11月7日まで、中国・武漢理工大学で開催される国際インターラクティブ・デザインフォーラム(2010DIDF)と、ニューメディア・アート招待作家展 (2010CINMAI) で、RGB ミュージック・プロジェクトが招待展示。2011年3月フィンランド各地で催されたメディア・フェス「Live Herring '11」のユヴァスキュラ市美術館会場で、「RGB Music RENGA: New York City Subway」が展示。
2011年1月1日より報道写真から音楽を作り出すWebプロジェクト「RGB Music News 2011」開始、2011年12月31日プロジェクト完了。Webプロジェクト「RGB Music News」は、2011年7月〜8月サンパウロで開催された「FILE メディア・アート・フェスティバル」と、2012年4月〜5月までリオデジャネイロで開催された「FILE RIO 2012」に選出されました。プロジャクト終了後、福島原発事故に関する「RGB Music News」の作品を時間軸で編集した「Composition FUKUSHIMA 2011」を発表。「Composition FUKUSHIMA 2011」はドイツのダルムシュタットで2012年7月に開催される the Global Composition と、2012年7月〜8月サンパウロで開催される FILE Hypersonica メディア・アート・フェスティバルに、再度選出されました。2012年1月より12月まで年間Webプロジェクト「FOUR SEASONS: THE BOTANY OF CENTRAL PARK」と、それから派生したWebカレンダー。2012年10月イスタンブール現代美術館ウェブ・ビエンネーレに「RGB Music News」が選出。 2013年1月暗号化した写真を音楽ファイルにして、その音楽ファイルを再び写真に戻す事ができる「CipherTune」開発。「CipherTune」は、スペイン領テネリフェで開かれる国際メディア・アート・フェスティバル「ESPACIO ENTER 2013」に選出されました。
2013年には写真を聴覚と視覚のデータに分離したファイルから、再びもとの写真に復帰させる「Split/Merge Audio Visual」、2014年には光の変化をビデオカムを通して音楽に換える、インスタレーションまたはパフォーマンスのソフトウエア「Luce」を開発しています。2014年に上記「Composition FUKUSHIMA 2011」をニューヨーク市のメディアアート・スペースメディア・ノチェで個展。さらに「Composition FUKUSHIMA 2011 (10分ビデオ版)」は、「第10回ケルン国際ビデオアート・フェスティバル」並びにベルリンで催された「BRAVE NEW WORLD ビデオアート・フェスティバル」に選出。「Web Biennial 2014」 イスタンブール現代美術館ウェブ・ビエンネーレで、インターラクティブ・カレンダー「Save Bees」が選出、プロジェクト「微かな光の揺らぎ」の中で撮ったセルフィー(自撮り)が「The Selfie Show / An Art Exhibition of Self-Portraits」ミュージアム オブ ニューアート(MONA / デトロイト市)に選出展示されました。
2015年RGBミュージック「コンポジション福島2011」が、ACM SIGGRAPH(アメリカ・コンピュータ学会アート部会)で初めて開催するオンライン・アート・エキジビション「ENHANCED VISION – DIGITAL VIDEO」に選ばれました。2015年9月12日から27日まで、ニューヨーク市ブルックリンのウイリアムズバーグ・アート&ヒストリカル・センターでRGBミュージック・シリーズのエキジビション。2015年12月に行われる、カナリア諸島テネリフェのアート・サイエンス・テクノロジー・イノベーションのフェスティバル「ESPACIO ENTER 2015」に、小島の作品「The Sound of Snow Park」が選ばれました。2015年12月「コンポジション福島2011」がアートビデオ・ケルン(ドイツ)のトラウマ・フィルム・コレクションに選ばれました。